映画「STAR WARS エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」を鑑賞してきました。
スターウォーズオタクを名乗るほどのプロではありませんが、
・スターウォーズ全作とスピンオフ映画
に加えて、
・クローンウォーズ(映画とアニメシリーズ)
・反乱者たち(アニメシリーズ)
を鑑賞済み。一番のお気に入りキャラはアソーカ・タノ、という私の鑑賞した感想です。(以下ネタバレ注意)
- まずざっくり感想
- 理由1.ジェダイの哲学の本質に還る、という意味でEP1〜、そしてアニメのクローンウォーズのことまで含めての伏線回収をやりきったから。
- 理由2.映画ではなく「スターウォーズ」という作品なのだということを感じたから
- おまけ.R2D2とC3POの友情のアツさ
まずざっくり感想
・サーガ(大河)としては最高の終わり方でした。
・アニメシリーズを一切観ていない人にも色々伝えようと頑張った結果、ちょっと情報量は多かったと思います。
賛否両論色々あるようですが、それはもうスターウォーズシリーズのお約束みたいなもんかな、と思います。では、私がなぜ「このラストでよかった」と思えたのか、理由を以下まとめていきます。
理由1.ジェダイの哲学の本質に還る、という意味でEP1〜、そしてアニメのクローンウォーズのことまで含めての伏線回収をやりきったから。
映画公開順ではなく、時系列で起きたことを確認します。
EP1〜EP3 アナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)
→ジェダイ・オーダーを破壊
あんなにかわいい男の子がどうして!パドメのことも振り切るくらいダークサイドに染まってしまったの?
とEP3でのアナキンの変貌にはちょっと唐突感もありますが、これはアニメのクローン・ウォーズシリーズを全て観ると納得の展開だと思います。
と言うのも、アナキンはパドメと同じくらい大事にしていた、自分のパダワン、アソーカ・タノという少女パダワンに最後、ジェダイ・オーダーを去られてしまうのです。
流れとしてはこんな感じ
・無実の罪で共和国議会から訴えられるアナキンのパダワン、アソーカ。
・ジェダイ評議会(ヨーダやメイス・ウィンドゥなど)にも信用してもらえず、評議会追放→様々な権利を剥奪された上で共和国議会の裁判にかけられることに(実質の有罪決定)
・アナキンは必死にアソーカではない証拠を探しに行く。
・アナキンが証拠を探している間、パドメが議員としてアソーカの証人となって時間稼ぎ。
・アナキンが真犯人を議会に連れてくる(真犯人のジェダイでありアソーカの友人は自白)
・真犯人の意図は、腐敗したジェダイ・オーダーを壊すため
(これでアナキンがますます暗黒面に近づいたという意味ではめっちゃ壊すのに貢献したわね)
・アソーカはもちろん無罪でジェダイ評議会からも、パダワンからナイトに昇格した上で戻って欲しいと言う。(アソーカがナイトになれば、アナキンはマスターに昇格)
・が、真犯人だった友人のジェダイが信じられない発言が引っかかったのと、自分が有罪となった時、アナキン以外だれも評議会に味方がいなかったこと、評議会委員では自分自身をジェダイと見初めたプロクーン以外誰も自分自身に謝罪してくれなかったこと、などなどモヤモヤが多かったため、ジェダイ・オーダーを去る決断をする。
このアソーカとの良いコンビがシーズン5までずーっと続いてきて、最後にこれですので、EP3冒頭でアナキンが暗黒面っぽいのも、アニメを観てきた身としては頷けます。
ちなみにアニメ内でも、ジェダイが正しいことを言っているようで、本質は違うんじゃない?と思いたくなるような、「ジェダイの腐敗」シーンは結構あります。
そう、EP3まででジェダイは腐敗していました。
それをダース・ベイダーは一気に崩壊させました。
EP4〜EP6、EP7、EP8 ルーク・スカイウォーカーは、ジェダイであり、ジェダイ・オーダーを復活こそさせましたが、ジェダイが支配する、という感じではなく、あくまで庶民と頑張る姿勢でした。
しかし最終的にルークがしたことで最も意味があったのは、EP8でジェダイ頼りにはせず、いかに普通の庶民が頑張ることが大切なのか、というメッセージを発したことではないでしょうか。
そしてその象徴でもあったのは、レイア姫かもしれません。レイアはEP6と7の間でジェダイとしての修行を受けたことを小説などで描かれているようですが、映画ではもちろん一般民衆の前でジェダイのように振る舞うことはなく、あくまで普通の人間でした。
この庶民が頑張る、って民主主義で最も重要なことの1つなんですよね。
民主主義の失敗の1つとして、衆愚政治という状態がある訳ですが、在る一握りのエリートがいて、それに頼れば良いや、とか、平和だし正直難しいし、あんまり政治について考えたくないなあ、なんて民衆が社会について不勉強な状態になると、政治家を選ぶ能力が低くなり、どうしようもない政治家が選ばれることになり、政治は腐敗して行きます。
(余談ですが、なんでも政治のせい、公共機関のせいにする人の声が最近大きく聞こえますが、政治家を選んでいるのは私達民衆ですし、公共機関の財務・人事コントロールは突き詰めれば私達が選んだ政治家がやってます)
というわけでジェダイ頼りにしないことを説いたルーク。
最後にEP7、EP8、そしてEP9でベン・スカイウォーカー(とレイ)がしたことはなにか。それは、ダーク(ライト)を受け入れることで相手と分かり合うこと、かなと思います。
これはアナキンがやろうとして失敗したこととも重なりますし、アソーカがヴェントレス(というシスにいたアソーカのライバル的存在)とやりかけてできなかったシーンとも重なります。
EP3までのジェダイが強かった時代は、なんだかんだ、ジェダイもシスを滅ぼそうと必死でしたが、人間ライトがあればダークもある、(陰陽思想…)
そして最初の伏線であるアナキンは「フォースにバランスをもたらす者」なので、ベンとレイのダークとライトが上手い具合に調和して終了っていうラストは、あースカイウォーカー家が本当にバランスさせたなーって感じでした。
というここまでの一貫性を3代分描いたっていうのが、大河としては最高のラストだったな、と思う所以です。
理由2.映画ではなく「スターウォーズ」という作品なのだということを感じたから
サーガとしては最高でしたが、映画としてどうか、と聞かれたら、まあそこはボロボロ言われても特に否定しません。
でも今回EP9まで見て思ったのは、スターウォーズはもはや「スターウォーズ」という作品であって、映画はその表現方法の1つにしか過ぎない、程度のことなんだなーということ。
EP9は本当に情報量が多くて、映画しか追ってない人正直楽しめましたか?っていうのは思います。映画としてはどうなの?って感じるかも。
アニメを追っていた人としては、アナキンのジェダイに対する色々がやっと報われたかな、感がありました。(ジェダイに対して不信感を抱いていたのは観ている側も共感できるところがあったので)ルークがあまりにも綺麗にジェダイを神聖化しかけていたので、それが壊れて、そして最後はちゃんとバランスしたので。
そういう視点で見ると、アニメ「反乱者たち」にて、遠い宇宙の彼方でエズラが民衆を立ち上げて1つの星を解放した、というのは、民衆を立ち上げたEP7、8の未来の始まりの象徴としても捉えられるかもしれませんね。
ただ、大河として、スターウォーズの美味しい部分を切り取ってやりました、というメッセージとして捉えると、EP9はよくぞ時間内にいろいろ詰め込んで、最後まで出し切ったなーとは思いました。
最後に.
EP9はどこまでも「スターウォーズ」らしい映画で、奇抜な展開がなかったと言えば、なかった映画でした。
ただ、歴史は繰り返す。
人類はめぐりめぐって同じことをしている、と捉えるのであれば、スターウォーズが大河であるという意味で、こういうラストしかもはやなかったんじゃないかなーとも思います。
おまけ.R2D2とC3POの友情のアツさ
なんでお前、記憶戻ってんだよ。エモい展開返せや。
というクレームが来そうですが、私はR2D2が記憶をお返ししたこのシーンでホロリと泣きました。
だって、こういうことができるってことは、やろうと思えばR2D2はアナキンやパドメたちのお供で大冒険していたことも全部C3POに思い出させてあげることもできると思うんです。
でもそれをしなかった。
ここにR2D2の深い優しさと友情が込められているなあ、と感じました。
ただでさえ感情が豊かなC3POが全てを思い出したら……機械とはいえ、自分自身を作り上げたご主人アナキンの行く末を知って、パドメの行く末を知って、発狂してしまうのではないかな、と考えた(であろう)R2D2が、わざと戻す記憶をコントロールしてくれたんじゃないかなーと想像してしまうからです。
C3POなら発狂しかねない。大事な友人を守りたい。だから戻す記憶をコントロールする。ものすごく、人間的な判断ですよね。
ただの機械だったら、記憶を全部戻す判断をしてしまうんじゃないでしょうか。
ドロイドを最後まで人間臭く描いてくれた監督に感謝です。
さて、映画も観て、年末からはいよいよマンダロリアンの話!
ディズニーデラックスにも入会したので、年末年始は引き蘢ってスターウォーズ観まくるぞ。
おやすみなさい。