くろやんの日記

思考・映画・ごはん・旅・自転車・読書・ライフハックのメモ帳

2021年印象に残った本/読み物リスト

 

今年読んだ本は65冊。他、修士論文とは関係なく色々な論文も読み、ネット記事もたくさん読みました。今日は今年一年間を振り返って、印象に残った本と読み物についてまとめてみたいと思います。

 

1.2021年スタート直後に読んだ本は敗戦直後のベルリンを描いたお話

『ベルリンは晴れているか』

読み終えて、作者がいわゆる純ジャパな日本人で日本語原作だと知ったときにしこたま驚きました。それくらい終戦直後のベルリンがリアルでした。外国原作の訳本だと思って読んでいたので、読み終えてあれ原作?あれ著者?と調べてびっくりしました。

舞台は敗戦直後のベルリン。アメリカ軍の兵士食堂で働く1人の少女が自分の恩人の死を起点に物語がはじまります。明らかになる少女の過去や恩人の関係、少女が焦土と化したベルリンで出会う様々な人達。ヒトラー時代とは180度反転した思想の中で人々がどのように生活していたのか、ということまで想像を巡らせられるくらい、丁寧にベルリンが描かれています。

アフターナチスの話を、戦争やどちらかの陣営の側によって切り取るのではなく、1人の少女の視点で描かれている感覚は『この世界の片隅に』とも少し方向性は似ているのかもしれません。が、これはあくまで、とことんミステリー小説。最後までドキドキしっ放しの2021年初っ端読書でした。

 

2.正直そろそろコンビニ人間の時代がくるのでは?と思いました。

『コンビニ人間』

ぞわっとする。怖過ぎる。読み終えた後にブックレビューを見てみると、そんな感想の方が圧倒的多数派でした。けれども私が一番最初に思ったのは、「コンビニ人間の何が問題だったんだ?」という分からなさでした。

確かにちょっとぞくっとするような、サイコだなと感じる描写はあるものの、コンビニ人間は多分普通の人間には普通に接するし、コンビニ人間が普通の人間にたいした関心を持たなさそうな描写もいっぱいあって、そう思うとただ社会にいる一緒に働く機会がもしかしたらあるかもしれない一人間としてコンビニ人間が側にいたとしても、そんなに問題か?という気持ちの方が強かったです。なんでだ。

しいていえば、誰にも迷惑をかけていなくても社会化を迫る「世の中」という存在の方が怖かったです。社会化を迫る「世の中」の人達は、この年の途中で読んだ『一九八四年』のビッグ・ブラザーと何が違うんだ?!ということを真剣に考えさせられました。

 

3.この本のおかげでまったりとした年末を過ごすことができていると言って過言ではない!

『できる研究者の論文生産術』

いつも締切直前まで執筆していることから抜け出したいと思っている人にはテキメンの教材だと思います。研究論文のハウツーですが、本質的な哲学は他の書き物や、仕事にも共通して言えることだと思います。が、この方法が向いている人、向いていない人は分かれるだろうなとも思います。

私はゼッタイギリギリが嫌で、休日はしっかり違うことしたいし休みたい派で、そのための仕事術系のビジネス本も読み漁ってきました。今回この本では研究者の卵として、研究者的な仕事術(執筆術)が学べました。これのおかげで今こうしてのんびり年末っぽいながーいまとめ記事(日記)を書くことができています。

修論提出後はこの著者の他のシリーズも読んで、次は博士論文に向けてがんばりたいですね。

学会発表時のプレゼン資料もがんばりたい。

 

4.初めての時代小説デビュー!江戸で扱われた季節の食材を追いかける

居酒屋ぜんやシリーズ

江戸の居酒屋を舞台にしたおいしいごはん系時代小説。久しぶりに、勉強とか学びたいとか、すすめられた、とかでなく図書館でジャケ借りしてハマった小説です。多分これが初時代小説です。いや、初は『天地明察』だったかも!でもこんなにシリーズで、自分から選んで読んだのは初めてです。(『天地明察』は友達のオススメでした。こっちも面白い)

ぜんやシリーズを読んでから、都内の街歩きがより楽しくなりました。多分、中高生の頃にハマらなかったのは、東北地方で生まれ育った私にとって京都や江戸という舞台は地理がよくわからないっていうハンデがあったからなんですよね。京都はとにかく、江戸は今住んでいるので、「飛鳥山」とか「上野の池」とか言われても大体地理が分かります。また、このシリーズを読んでから、食べログの神田近辺の歴史がある料理やさんをめっちゃ調べるようになりました。

シリーズ終わったと思っていたら、この秋続編が出たみたいです。読みたい!

 

 

5.やっと読み終えたよ、HarryPotter!

Harry Potterシリーズ

読みたいなあと思い続けて何年でしょうか。子どもの頃、図書館では予約がいっぱいで借りることができず、なんやかんやと社会人になり、そして大学院生になった二年目、Kindle Unlimitedの中にハリポタを発見。修論の合間に、息抜きをするように読み進めました。後半は基本二巻構成だったんですね。電子版だと一続きなので分からなかったのですが、長かった……けれどもこれで色んな人に、「結末言わないで!」と言わなくて済みます。そしてやっと映画も見ることができる……!

子どもの頃にアズカバンまで読んでそれっきりって感じで、ネタバレもされたくなくて、……いつの間にかUSJにアトラクションもできたりしちゃって色んな人にネタバレされかけましたが、今後はそういう心配もしなくて良さそうです。

地味にハリポタ好きな夫にもそう言う意味でたいぶ迷惑かけました。これからは存分に語っていいですよ。

とりあえず既にファンタスティックビーストは映画館で全部見ているのですが、春に公開予定らしい最新作のタイトルがめちゃめちゃ楽しみです!ハリポタ本編を読み終えたから!楽しみー!

 

6.簡単ではない農業のハナシ。私に地方移住を説いてくる都会人全てに捧げたい

私は地方都市というレベルではない、田舎出身です。(ついでに雪国)今は東京在住です。コロナ禍で地方移住をした知り合いもたくさんいました。たまに田舎暮らしいいよって勧められます。けれどもかれらの言う田舎は私目線では都会で、子どもの頃に見上げた星空より全然明るいから夜空には感動できないし、空気のきれいさも水の美味しさも感じられません。この点については自分が恵まれて育ったことを自覚しています。たまにすごい田舎に移住した人にも田舎暮らしのよさを語られますが、彼は若い男性です。若い女性がどんな扱いを受けるのか、語っても信じてくれません。

そしてこの本では若い女性が田舎でどういうふうに見られるのか、どういうふうに生きていく必要があるのか、ということのリアルが書かれています。

ほんと、簡単じゃないんだってば。

でも今回はこの本を読んで、そういう負の感情だけでなく、自分がもっていた武器(利点)にも目がいくようになりました。私は田舎の出なので自分の田舎に限り、農業をやってみたい都会の男性がいたら私は優良物件だったんだなあ、という見方です。

ただ、私はわきまえている女にはもうなれないので、しばらく都会暮らしは続きそうです。全ての農ガールを尊敬するし、今後も国産野菜を積極的に購入することでみんなを応援したい……。

 

7.充実した庭園ライフをスタートさせるために役立った記事

note.comnoteの有料記事『庭に植えて後悔した植物』です。

成功潭より失敗潭の方が確実にためになる!ってことを再実感しました。私も来年は積極的に失敗を日記に書き留めていってもよいかもしれません。

庭に植えてどう後悔したのか、ということがツラツラと書かれています。その理由がリアルです。そしてこれだけの数を試された著者さまが本当にすごい。また理由を読んであえて失敗したという植物に手を出してみたりしました。

例えば育ち過ぎて困った、みたいな植物なんかは、自分がズボラでも勝手に育つ植物をできるだけ選びたい身としては積極的になれる植物です。

来年ガーデニングに挑戦する、今年失敗した、という方是非ご参照を。

 

8.続編も気になる……一生モノの課題図書

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

イギリスで人種差別問題の渦中にいる息子さんのことをお母さんが綴っているノンフィクション。差別の問題はほぼ間違いなく誰しもが抱えていて、ゼロにすることができないことを前提に、頭の片隅に誰もが抱えることを受け入れることから始まるのだなあ、ということを考えさせられました。

ここでは差別がないのよ、という言葉を簡単に使うことはゼッタイにやめようと思ったきっかけにもなりました。

また今回この本を読んで面白かったのが、シンパシーとエンパシーの違いの話です。感じること、その感情に浸ることっていうのは、学校の授業案でもよく出てくる言葉だし、某一日中生放送する番組とかってそういう機会ではあるけれど、他者と同じ靴を履いてみる、と例えられていたエンパシーに関する機会はものすごく少なく、ものすごく限られた場面、限られた障害の人のことしか取り上げられていないのでは?と思いました。帯にもあったとおり、一生モノの課題図書だと思いました。続編も読みたい。

なお1巻を最後まで読むと、2巻の表紙カラーについて「おおー」って思います。

 

9.「生産する」というストレス発散方法を教えてくれたコミックエッセイ

『眠れぬ夜はケーキを焼いて』

午後さんの漫画との初対面はツイッターでした。あれよあれよという間にコミックエッセイ化が決まり、ネットで見ていたマンガで唯一紙の本で購入にまでいたりました。個人的にはマフィンのレシピがお気に入りです。100均でシリコンのマフィンの型を買ってきて、暖かくなるまでかなりのマフィンをつくりました。

ストレスを生産にぶつけたい欲求をこの本のおかげで形にすることができました。ストレスで何かを消費する行動よりも後味が良くて、立ち直りも早いです。そしてお菓子は作った後に食べられるのもよいです笑

レシピは甘いものだけではないのもちょっとスパイスが効いていてお気に入りです。なお二巻もでました。(買いました)

 

10.私の時間とはなんなのか、なんで時間に追いかけられてしまうのか、どうして時間を奪う人がいるのか、etc。

『遅刻の誕生』

きっかけはこの1冊から。ここから始まり、今年は1年間を通して、節目節目で時間というものについて考えさせられた1年でした。

なお最近誰かの遅刻にあまりイライラしなくなりましたし、責任者が早くスケジュールを教えてくれないことにもイライラしなくなりました。私は私の時間で生きようと思ったのと同時に、他者の時間についても尊いと考えるようになりました。

なお時間が奪われているな、と感じるような人とは最初から極力何か約束をしないことを決めました。

時間について面白い記事にも目がいくようになりました。そう、時計に寄る時間って結構社会的なものっていうのが今年一番の私の発見かもしれません。よくよく考えてみれば当たり前なのですが、より理解が深まったといったところでしょうか。

誰しもが自分の時間をもっていて、ちょっとずつ社会に寄せて社会は成り立っているので、あんまり他人の時間にとやかくいうのではなく、自分の時間を社会からちょっとずつ切り離すことを考えよう、という発想ができるようになりました。クーリエのこちらの記事も面白かったです。

courrier.jp

以上、2021年私の印象に残った本、読み物でした。

来年はどんな本を読もうかな。

おやすみなさい。