「若い時は本を読んでおけ」
中学生だったか高校生だったか、大人に、もしも高校生に戻れるなら何をしますか、と聞くと、何人かいる大人のうちの1人は必ずこう答える。
だから読書だけはずっと続けてきたのだけれど、大人になってやっとその答えが分かった。良質な本は自分の頭の価値観を多様にしてくれたり、その他にも言葉には言い尽くせないほど自分を変えてくれる魔法の力をもっている。
ネットの記事でもそういう奇跡の記事がない訳ではないけれど、本はたくさんの人の手を通っている分、ハズレも少ない。
一年に200冊から300冊、あれだけの量を読んでいたのにもっと、読んでいれば、もっとこんな本も読んでいれば、と今でも思ったりする。
後悔してもしょうがないから、今でも読むことを続ける他ないんだけどね。
そんな今の私が、高校生の私に送りたい本10選を選んでみた。出版年は最近のも含めて。
1.新しい市場の作り方 三宅秀道
ビジネスの作られ方の本質が突かれている本。天才エジソンがなぜ、ウォシュレットを思いつくことが出来なかったのか、という切り口から、新しい市場、つまり文化をつくる発想の仕方が論理的に書かれている。
天才だから発明が出来て、それが売れる訳ではない。物を作るという発想ではなく、文化を創るという発想は、物があふれるこれからを生きるために必要な思考だと感じた。高校生のときに読んでいたら、進路選択が変わっていたかもしれない。
2.学問のすゝめ 福沢諭吉
言わずと知れた名著。短編がいくつもまとめて収録されているので実は読みやすい。順を追うごとに難しくなっていくけれど、短いので分からないところは教科書のように何度も読んで理解を深めたい。
今でも十分通じる、学問の本質について細かく説明されている。考えるだけ、知るだけでは本当の学問ではない。実践してこそ、と現代人にも胸に刺さる一言をあの時代に考えていたのだから、やっぱり諭吉先生すごい。
タイトルだけ知っていて読んだことがない人はぜひ。
生き物って何、という哲学的な疑問に答えてくれる一冊。あと純粋に面白い。上から目線で何様だけど、文章がかなり上手いから本当に読みやすい。専門的な内容だけど、高校生でも十分に分かるような内容。
文系でもこれを読んだ後は、本気で理転を考えたくなる。生物Ⅱをやりたくなる。
4.バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎
最初に言いたいのは、まずこの作者は純日本人である。純粋な秋田県出身の方だ。ウルドはアフリカで親しくなった人に頂いた名前、どういう経緯で頂いたかは中身を読んで欲しい。
正確な意味でのバッタは日本にはいない。バッタとは、バグズライフに出てくるような、通り過ぎたら一瞬で作物を食べ尽くしてしまうような大群を指し、アフリカではそうして作物が大被害を受けている。これに立ち上がったのが、この緑の服装をした作者の前野氏だ。
とにかくコミカルで、話が面白い。高校生に講演をして大爆笑を誘ったらしいから、その話術、文章力は本物だろう。おもしろおかしく、アフリカのことやバットのことがよくわかるし、夢を叶えるやり方を模索する手段を考えさせてくれる一冊。
日露戦争前後、大正時代を知る勉強になる。日本の歴史では戦国時代、江戸時代までは詳しくやるけれど、近現代史はほとんど学校で扱わないから、本当はこういうのを読んで詳しく勉強すべきだった、と今一生懸命読んでいる。
自分が生きる時代に一番近い時代に生きていた人達がどんなことを考えていたのか、という想像力がとても養われる。
もしも読んだら、大人になってからでも良いので横須賀の記念艦三笠にも見学に行ってみて欲しい。
6.キケン 有川浩
高校生のうちに読んで欲しい。大学では無為な遊びに惚けるよりも、こうして本気に遊びに行った方が絶対面白いし、世の中を渡り歩く力が身に付くよ、ということがよくわかる小説。大学は遊びに行くところ、というのは前提だとしても、遊び方で卒業後に身に付く力は本当に違う。
どんな大学生活を送るのが良いのか、一つのモデルにして欲しい。
7.金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
もしもお金に関する教育を親から聞いたことがなければ、大人の世界に行く前に読んでおいた方が良い。お金の使い方である消費と投資について、それぞれの違いを考えさせてくれたり、自分がどういう生き方をしたいか考えさせてくれる。高校生までだと、大抵消費しか経験していないと思うから。
アメリカの人が書いているので、日本で生きるためには少し解釈を変えた方が生きやすいな、と思う場面もあるけれど。
また、これを使った詐欺的商法も世の中にあるので、事前に読んできちんと理解しておくことで騙されることも防いで欲しい。
8.大学受験に強くなる教養講座 横山 雅彦
大学を受験しない高校生にも読んでもらいたい一冊。教養とは何か、分かりやすく教えてくれる。教養を身につけることによって、当たり前を疑えるようになったり、新しい時代や技術に自分を追いつかせる柔軟さが身に付くことに気がつけた一冊。
高校のうちに教養を身につけ、仕事をしながらでも教養を身につけ続ける姿勢をこれで手に入れて欲しい。
9.海賊と呼ばれた男 百田尚樹
表紙からずいぶんと固そうな、難しそうな印象を受けるけれど、中身はジャンプマンガさながら。友情(人情?)、努力、仲間と主人公の成長、男子高校生は必ずはまる。女子高生も、主人公のイケメンな行動に多分惚れる。
内容は戦前と戦後の石油をめぐる話。当時の政治状況や、石油の世界情勢の勉強にもなる。
10.私の財産告白 本多清六
将来、専業主婦になりたい人の必読本。専業主婦じゃなくても、公務員になりたい人、とにかく世間で言うところの安定的に生きていきたい人は必ず読んで欲しい。
この本では特に起業をしろ、とか書かれていないし、カタカナ文字も出てこない。しかし、堅実に生きたい人に取っては最高の教科書のような一冊だと思う。
金持ち父さん 貧乏父さんが合わないな、と思った人は多分こっちなら合う。
以上、私的、高校生の自分に読ませたい本(読んだ本も含む)