今週のお題「おとうさん」
人生を自由に生きるってどういうことなんだろう?
私が父からもらったものの中で一番大きなものといえば、この問いかけそのものだと思います。
直接、父からそう聞かれた訳ではありません。私より勉強はできるし、いわゆる良い大学も出ているけれど、全くガリ勉タイプではないし、どちらかというと不真面目で、若い頃はバイクを乗り回して、ちょっぴりやんちゃだった口のようです。
けれども私は父を見ていると、考えてしまうのです。
人生を自由に生きるってどういうことなんだろう? と。
父の人生自体を端から見ていれば、それは自由とは近いようでほど遠いもののように見えます。
たくさんいた兄弟に埋もれながら、やっと就職で自由に働き、遊んでいたところで突然ふりかかった田舎への道。
海外駐在の道を断って、小学校から転校でそこには住まなかった、親しい友人なんか一人もいない田舎に戻って、特別好きでもない家業に精を出す。
自分だったら自由がなさ過ぎて、発狂しそうな人生です。
けれども父はそんな自分の人生をめいいっぱい楽しんでいたように思います。
田舎で大して仕事に時間がかからないことをいいことに、私とたくさん遊んでくれました。学校から帰ってきて夕方、庭でバトミントンをしたり、テレビゲームも一緒にやったりしました。
旅行にもいろいろ行ったし、自然に近いところでとれたもの、いただきものを美味しく食べました。
病気とか、親戚との絡みについて、辛い事や苦しい事も多かったけれど、総じて父は全てを楽しんでいたようにも思います。
人生で何かを成し遂げたか、という問いには答えられそうにない父ですが、人生を目一杯楽しんでいるか、という問いにはしっかり答えられそうです。
何かを成し遂げるだけが人生じゃない。それをやってる人間だけが偉い訳じゃない。そんなことを学んだような気がします。
そもそも人間ってなんで生きているんでしょうね?
みたいな壮大な問いを、ずっと楽しく追いかける人生、とも言えるかもしれません。
そのままでいいのか?
とか
人生楽しく!
とか
人の人生に対して色々言う人は多い都会で、色々考えさせられたり、そんなこと言われる筋合いないわよって憤慨したりすることもあるけれど、そういう時、思い出すのはいつも父の姿。
誰になんと言われようとも、特別な事は何も成し遂げていなくても、生物として生きるってきっとこういうこと、っていうことをはっきり言える人でありたいです。