くろやんの日記

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舞台を見に行って考えさせられた、芸術の楽しみ方

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芥川賞直木賞。年に二回発表される、文学の賞。

テレビで特集されるし、多くの人が名前だけなら聞いた事があると思います。

 

じゃあ芥川賞直木賞の違いは?

となると、あれ?どう違うんだ?となりそうですが、ざっくりとはこんな風に違います。

 

芥川賞

各新聞・雑誌あるいは単行本として発表された純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞

 直木賞

各新聞・雑誌あるいは単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品中最も優秀なるものに呈する賞

 

 

ざっくりまとめると、

芥川賞が芸術性や形式を重視した作品に贈られる賞

直木賞が娯楽性や商業性を重視した作品に贈られる賞

というような意味になります。

 

 

さて、先日、舞台を見に行きました。新宿ゴールデン劇場にて講演されている「衣衣」という舞台です。

stage.corich.jp

 

音楽でも舞台でも本でもそうなのですが、その作品を理解する為に必要な知識がより必要になってくるのが芸術的な作品。

今回鑑賞した「衣衣」も分かりやすさはあるかなと感じつつも、どちらかと言えば、芸術的な部類に入る作品でした。

主に仏教の世界観が分からないと、台詞に出てくる単語の意味がちんぷんかんぷんになりそうです(笑)

 

 

どちらかというと大衆的な作品を見る方が楽だし、単純に面白いと思えるし、なんですが、久しぶりにこうした作品に触れて、たまにはこういうのもいいな、と改めて思いました。

芸術的な作品というのは、どこを切り取っても絵画のように美しいです。それは選び抜かれた言葉の一つ一つが、その場面で最も美しく見えるものが選ばれているからでしょう。

また、芸術的な作品が私達に与える感情が、一つに限らない、というのもまた面白いポイントなのかもしれません。

大衆的な作品でも、笑あり、涙ありなのですが、芸術的な作品からはいつも複合的な感情にさせられることが多いように思います。

哀しいけれど嬉しい気持ち、とか。

笑いたいんだけど怒りたい気持ち、とか。

とにかく複雑で、終わった後に、頭と心の中で悶々としてしまうこともしばしば。

 

ふと、こうして芸術的な作品から受け取る感情について考えたときに、あの映画を思い出しました。

ディズニーの「インサイドヘッド」です。

kuro-yan.hatenablog.com

去年のマイ10選にも選ばれておりました。

 

 

ネタバレになりますが、ラストで主人公の女の子は、単純な感情表現から、複数の感情が入り交じった感情を感じられるようになります。

思春期に突入して、感情が単純な物ではない事を受け入れる場面は、私自身が大衆的な作品だけでなく、純文学的な作品も受け入れられるようになれた過程のようにも見えました。

 

経験や他の人との関わりから学ぶ事によって、感じる感情がどんどん複雑になる。と同時に、単純な物ではだんだんと満足できなくもなってきます。

幼い頃、飽きもせず毎日読んでいた大好きな本でも、年を重ねると刺激が足りなく感じて、もっと高い感じる力が求められる作品を読んだり、鑑賞したりすることになるのは、多くの人が経験した事がある事かもしれません。

 

最近私はこの状態を音楽で感じました。

決まった音楽しか聞かない私の耳は、大学入学当初、難しい音楽は理解できず、普通のJ-POPばかり聞いていました。たまに聞く洋楽もコードが単純な物ばかりです。

もちろんそれでもいいのでしょうが、例えばJAZZの良さ、というのはほとんど理解できず、JAZZを楽しめる友達が羨ましくもありました。

子どもが楽しそうに遊ぶ大人を見て、楽しそうだけど何が楽しいのか理解できないな、みたいな気持ちと似ているかもしれません。

 

けれども、だんだんとJAZZを繰り返し聞くようにしていたら、耳が慣れてきたのでしょうか。久しぶりにJ-POPを聞いたときには若干の物足りなさを感じました。

 

これはJAZZに多用されているテンションコードによるものだということを知りました。一般的なJ-POP、他洋楽でもアイドルが歌っているような曲は単純なコード進行です。

すごくざっくり言うと、「ドミソ」みたいな綺麗な音が普通の曲には多いのですが、JAZZはいつも奇想天外な動きをします。「ドミソ」に違う何かが足されて、時にそれはものすごく気持ち悪いです(笑)気持ち悪いのに、ぞわぞわしたあの気持ちよさが止められない、なんて感情が生まれます。

これは刺激のレベルの違い、と言えるかもしれません。JAZZの方が刺激が強いのです。

今では私もすっかりJAZZが好きになりましたが、だからといって毎日死ぬほど聴きたいとも思えません(笑)

夫が、音楽はある意味で麻薬と一緒、と言っていたのですが、慣れてくるとその刺激じゃ満足できずに刺激を求め続ける。

けれども緩急を付けて、複雑な音楽だけでなく単純な音楽も聴く。

刺激が欲しいときは複雑なものを聴きたくなりますが、リラックスしたいときや、単純にテンションを上げたいときは、ロックやJ-POPが聴きたくなります(笑)

 

 

あれこれ話はとびましたが、芸術の楽しみ方として、日常生活にたまに入れるアクセントなんだなあ、とも思いました。

好きならどっぷり浸かるのもありかと思いますが、玄米みそ汁の生活に、たまにフランス料理が入るといい刺激や新しい発見があるのもまた一つ。

 

その際に、合うワインはこういうのかな、とか。この季節だからこういう調理法なんだな、みたいな知識があるとなお楽しい、というのもちょっぴり芸術に似ている……(料理も考えように寄っては芸術ですものね)

芸術という非日常も積極的に生活に取り入れて、心豊かに暮らしていきたいな、と思う次第です。