数年に一度はなぜか京都に行きたくなる。
生まれも育ちも京都から遠く離れた場所で、元々の縁もゆかりもないはずなのに。
私が京都に惹かれたのは高校一年生の時だったと思う。古典を読めば読むほど、その中心となる京都という街がとても気になった。
少女マンガやドラマをみて東京に憧れを持つ感覚と似ていたのかもしれない。周囲が夜のドラマにはまって、東京で働く女や主婦が描かれた世界に憧れるように、私は京都で生きた女性たちに憧れた。
初めての京都は色鮮やかで、目が離せないくらい夢中になった絵画に閉じ込められたような、そんな気分になった。
次の年にも京都に行った。一人で行った。
ついでに初めての一人旅だった。
前に来た時とは違った風景が見えた。前は色が鮮やかだった記憶しかないのだけれど、このときは木の香りが強く鼻に残った。
そこから間を空けて、二年後にまた行った。また一人だった。大阪をめぐった友達は先に帰り、京都には一人で行ったのだ。
2回目の一人の京都では、恋占いをしたのを覚えている。
1回目は大吉で、その半年後に一度もデートをしなかった、彼氏とカウントできるか怪しい彼氏と別れた。
2回目も大吉だったけれど、期待はしないことにした。もしかしたら、大吉しか入っていないのかもしれない。
3回目はそのまた三年後、友達に会いにきた。
その後一人で歩く京都はまた新しかった。結婚もして、心が穏やかだったせいもあるかもしれない。
神社を歩くスピードも、ゆっくりになった。
そしてまた、京都に行きたくなっている。
何度行っても全国で一番、観光案内所が冷たくて、正直おもてなしは微妙だと思っている街だけれど。